
2008年度松江セミナー
  | 講演者 | 題目 | 日時 | 場所 |
第1回 | 瀬戸 道生 氏 (島根大学 総合理工学部) |
関数論的関数解析学の紹介2 | 4月30日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟703 数学第1セミナー室 |
アブストラクト: 昨年10/25 の回に引き続き、関数解析学と複素解析学との境界に属する話題を紹介します。今回は三つの異なる多変数 (複素) Hardy 空間の理論を紹介します。 | ||||
第2回 | 瀬戸 道生 氏 (島根大学 総合理工学部) |
関数論的関数解析学の紹介3 | 5月14日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟703 数学第1セミナー室 |
アブストラクト: 昨年10/25 の回に引き続き、関数解析学と複素解析学との境界に属する話題を紹介します。今回は三つの異なる多変数 (複素) Hardy 空間の理論を紹介します。 | ||||
第3回 | 鬼塚 政一 氏 (島根大学 総合理工学研究科) |
変数係数をもつ常微分方程式の漸近安定性 | 5月21日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟703 数学第1セミナー室 |
アブストラクト:私はこれまで微分方程式の定性的理論に関する研究に従事してきました。微分方程式の定性的理論とは、微分方程式の解を具体的に求めることなしに、解のもつさまざまな性質を定性的に考究する理論のことをいいます。この方法論の目的は、初期値問題の解(ある初期状態からはじまる解)が無限の時間幅でどのよう な挙動をとるのかを解き明かすことにあります。微分方程式の定性的理論に関する研究には数多くの分野(例えば、安定性、有界性、振動性、解の延長可能性等の諸問題)がありますが、本講演では特に微分方程式の漸近安定性についてお話しさせていただきます。講演の前半では、身近な物理現象の中に登場する微分方程式の紹介をし、その有用性に触れます。また講演の後半では、私の最近の研究内容である「変数係数をもつ微分方程式の漸近安定性」についてお話しさせていただきます。 | ||||
第4回 | 田丸 博士 氏 (広島大学 大学院理学研究科) |
サッカーの幾何学: ゴールキーパーの最適ポジショニング |
6月4日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 3号館609 数理第2総合演習室 |
アブストラクト:平面上に, シュートを撃つ人とゴールの位置が与えられているとします. このとき, ゴールキーパーはどの位置にいるのが最適でしょうか? あるいは, ゴールキーパーの位置とシュートコースが与えられているとします. このとき, ゴールキーパーはシュートコース上のどの点でシュートをキャッチするのが最適でしょうか? ……というようなサッカーに関する問題を, 幾何学的に考えたいと思います. 本講演では, シュートの「取りやすさ」を表す関数を定義し, その関数の最大値や最小値を調べることによって, 上記のような問題に解答します. | ||||
第5回 | 佐藤 肇 氏 (名古屋大学名誉教授) |
幾何構造とシュワルツ微分 | 6月11日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟703 数学第1セミナー室 |
アブストラクト:古典的なシュワルツ微分は,複素変数関数に対して定義されて,それが消えている関数は,一次分数変換となるというものです.また,勝手な関数を係数に使って,二階線形微分方程式をつくると,その独立な解の比として表わされる関数のシュワルツ微分は,はじめの関数に等しくなるという,再帰性があります.一次分数変換は,射影直線の射影変換群ですが,いろいろな幾何構造の変換群に対して,対応するシュワルツ微分と二階線形微分方程式系は作れるでしょうか?高次元の共形構造,射影接触構造などに対しての試みを紹介します. | ||||
第6回 | 新田 泰文 氏 (大阪大学大学院理学研究科) |
群作用を持つ一般化された複素多様体について | 6月18日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟703 数学第1セミナー室 |
アブストラクト:一般化された複素構造の幾何学についてお話しします.これは複素構造とシンプレクティック構造を自然に含む大きな枠組みで, Hitchinが導入しGualtieriらによって複素幾何学的,シンプレクティック幾何学的な視点から盛んに研究されています.本講演では群作用を持つ一般化された複素多様体について,シンプレクティック幾何的立場から解説いたします.一般化された複素多様体へのHamiltonian actionという概念を導入し,一 般化された運動量写像に関する凸性について解説します. | ||||
第7回 | 中西 敏浩 氏 (島根大学総合理工学部) |
点付きリーマン面の写像類群とある不定方程式系の整数解について | 7月9日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟703 数学第1セミナー室 |
アブストラクト:マルコフ方程式の正整数解を保つ変換群は1点付きトーラスのタイヒミュラー空間に作用する写像類群としての解釈をもつ。本講演では, 一般の点付きリーマン面の写像類群についても、それがある不定方程式の整数解を保存する変換を導くことを示す。 | ||||
第8回 | 中西 敏浩 氏 (島根大学総合理工学部) |
点付きリーマン面の写像類群とある不定方程式系の整数解について | 10月2日(木) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟703 数学第1セミナー室 |
アブストラクト:マルコフ方程式の正整数解を保つ変換群は1点付きトーラスのタイヒミュラー空間に作用する写像類群としての解釈をもつ。本講演では, 一般の点付きリーマン面の写像類群についても、それがある不定方程式の整数解を保存する変換を導くことを示す。 | ||||
第9回 | 中西 敏浩 氏 (島根大学総合理工学部) |
点付きリーマン面の写像類群とある不定方程式系の整数解について | 10月29日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 2号館224 数理セミナー室(2) |
アブストラクト:マルコフ方程式の正整数解を保つ変換群は1点付きトーラスのタイヒミュラー空間に作用する写像類群としての解釈をもつ。本講演では, 一般の点付きリーマン面の写像類群についても、それがある不定方程式の整数解を保存する変換を導くことを示す。 | ||||
第10回 | 石渡 聡 氏 (筑波大学大学院数理物質科学研究科) |
Heat kernel on gluings | 11月5日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 2号館224 数理セミナー室(2) |
アブストラクト:空間の連結和はトポロジカルな性質が変化するのみならず、ポアンカレ不等式が成り立たなくなるなどの空間の大域的な性質も大きく変わってしまうことが知られている。熱核の長時間挙動はこのような状況と密接に関係がある。本講演では最近明らかとなった非コンパクト多様体の連結和上の熱核の挙動を通して関数不等式の幾何学的特徴付けについて説明する。 | ||||
第11回 | 本多 正平 氏 (京都大学大学院理学研究科) |
Gromov-Hausdorff 距離と Ricci 曲率 | 11月20日(木) 16:15-17:45 |
総合理工学部 2号館224 数理セミナー室(1) |
アブストラクト:Gromovは,コンパクトな距離空間の等長類全体に,自然な距離が入ることを示し,その距離に関する,あるコンパクト性定理を示した.それによって,リーマン多様体の収束,という概念を考えることができる.本講演では,それらの基本的な概念の解説を主に行いたい.また,最近の研究でわかった,低次元の空間への収束に関する,ある結果を軽く述べたい. | ||||
第12回 | 甲斐 千舟 氏 (金沢大学理工研究域) |
等質有界領域の対称性条件, 性質の良い有界領域実現について (伊師英之氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)との共同研究) |
12月10日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 2号館224 数理セミナー室(2) |
アブストラクト:任意の等質有界領域は Siegel 領域と呼ばれる上半平面型の領域として実現できる. さらに近年, R. Penney と野村隆昭氏は, 等質 Siegel 領域をある有界領域に双正則に写す Cayley 変換を導入した. 一方で現在から80年近く前に, S. Bergman は任意の有界領域に対して代表領域なるものを与えた.本講演では, Penney-野村の Cayley 変換の像が, 代表領域と一致することを示す.これによって, Cayley 変換を簡潔に定義することができ, また講演者が示した対称 Siegel 領域の特徴付け定理を, 簡明な形で再定式化することができる. | ||||
第13回 | 今田 光彦 氏 (東京工業大学) |
ジュリア集合のトポロジーについて | 12月18日(木) 16:15-17:45 |
総合理工学部 2号館224 数理セミナー室(2) |
アブストラクト:ジュリア集合のトポロジーを到達可能性の視点から考えます.例えば,クレーマー2次多項式のジュリア集合は局所連結でないのですが,到達可能性について興味深い結果が知られています.この講演では,そのような2次多項式のジュリア集合にある意味で対応する3次有理関数のジュリア集合について考えたいと思います. | ||||
第14回 | 濱野 佐知子 氏 (松江工業高等専門学校) |
$L_1$-主関数に関する2階変分公式とその応用について | 1月14日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 2号館224 数理セミナー室(2) |
アブストラクト:平面領域の正則変動下での、circular slit mapping の半径に関する変分公式および $L_1$-主関数に関する変分公式を導き、それらの応用として、Schottky covering の解析的同時一意化について述べます。 | ||||
第15回 | 浦川 肇 氏 (東北大学大学院情報科学研究科) |
調和写像、2-調和写像と共形幾何学 | 1月21日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 2号館224 数理セミナー室(2) |
アブストラクト: | ||||
第16回 | 瀬戸 道生 氏 (島根大学総合理工学部) |
Dvoretzky の定理と測度の集中現象 | 3月5日(木) 16:15-17:45 |
総合理工学部 2号館224 数理セミナー室(1) |
アブストラクト:今回の発表では,Dvoretzky の定理の Milman による証明を紹介します.Dvoretzky の定理とは「とても大きな次元の Banach 空間をうまく切ると,その断面には,だいたいユークリッド空間と見なせる,大きな次元の部分空間が現れる」ということを主張するものです.Dvoretzky 自身による証明を紹介せず,Milman による証明を紹介する理由は,現在,数学の多くの分野で応用されている二つの重要なアイデアが,その中で本質的な役割を果たしていることにあります.従って,今回の発表では,その二つのアイデアの使われ方に重点を置いて話を進めようと思います. なお,この発表には,新しい話,オリジナルな内容は一切ありません.いろいろなテキストを読んでまとめてきただけのものです. |
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